石川 つばさ ブログ
2026.7 総務企画常任委員会視察報告
2026/7/20
7月15日から17日に総務企画常任委員会で視察を行いましたので報告します。
初日、千葉県千葉市を訪れ、新庁舎の整備について視察しました。今回視察した建物は2023年から使用されており、千葉市にとって5代目の庁舎です。同市は政令指定都市であり、近年の人口推移はかつてほどの伸びではないものの、微増傾向が続いています。人口増加に伴い、歴代庁舎も拡大を続けてきた経過があるそうです。4代目庁舎(1970~2023年)は狭隘化に加え、敷地内での増築が難しかったのか分散化が進み、その一部が民間ビルに入居していたことによる賃借料の負担も課題となっていました。さらに、2011年の東日本大震災で一時、本庁の全職員を退避させざるを得ない状況に陥るなど、耐震性や業務継続性など防災面の課題が浮き彫りとなりました。その後、庁舎の在り方検討、基礎調査などが行われ、また議会側でも特別委員会が設置されるなどして、10年余で新庁舎の竣工に至っています。新庁舎内を見学しましたが、防災面はもちろん、防犯、環境、バリアフリー面でも先進的な視点が取り入れられていました。防災面では躯体に基礎免震構造が採用され、主要な熱源装置なども想定される最大水深よりも高い場所に設置されていました。72時間分の非常用発電が可能な軽油2万ℓも備蓄され、各フロアには通常のコンセントとは別に、非常用発電機でバックアップされた赤色のコンセントが一定数設置されています(危機管理部門は全て赤色コンセント)。「もしもの時にすぐに動けない市役所ではだめ」という3.11の経験を教訓にされていました。防犯面では、来庁者が訪れることが想定される窓口エリアと、セキュリティカードが無ければ入ることのできないエリアが明確に分けられていました。環境面では、人のいる場所を狙って空調効率を高めるとの考え方から、吹出口が床に設置されていました。バリアフリー面では、オスメイトトイレや子連れで議会傍聴可能な「特別傍聴席」が設置されていました。安城市の現庁舎には無い設備が多数見られましたが、これらの設備に関しては千葉市の特性というよりも、むしろ近年の築年数の浅い庁舎では標準装備となっているものが少なくないと感じられます。私としては今回の千葉訪問で以下の2点を意識しました。1点目は、その特徴的な外観とそれに伴うコストへの影響です。千葉市役所は高層棟・低層棟という高さの異なる2棟からなっており、木目調の素材がふんだんに使用される特徴的な外観となっています。著名建築家による設計ということで、一般的な庁舎とは様相を異にします。それに伴い、設計費や維持管理費が一般的な庁舎よりも高額になりはしないかが気がかりでした。お聞きしたところ、建築家が担当したのは基本設計のみで、実施設計はゼネコンが担ったこと、木目調ではあるものの材質が純粋な木ではない事から、イニシャル・ランニングコストへの影響はそれほど大きくないとのことでした。大きな事業であるため、安城市においても10年後、20年後に必要となってくる維持管理費も念頭に置きつつ慎重に検討すべきと考えます。2点目として、将来、取り巻く社会環境が変化し、それに伴って庁舎の使われ方が変わっていくことへの対応です。ICT化、人口減少などによって必要とされる庁舎の面積も変動する可能性があります。半世紀以上使うことを前提とした庁舎であればこそ、どう転んでも対処できるようにしておくことが必要です。この課題について工夫した点をお聞きしたところ、「減少だけでなく、新しい福祉など行政サービスが増える可能性もある。この庁舎は時代の変化に対応できることをコンセプトとしており、個室化をさけて広いスペースを確保するように工夫した」といった趣旨のお答えが返ってきました。確かに、執務スペースは部署ごとに区切られているわけではなく、一見するとどこが部署の境なのか判別がつきづらい配置となっていました。極力、追加工事を要さず、後々につぶしの効く作りとすることは有効な手法であると感じられます。過去の視察先では、議会棟の控室をパーテーション(天井に吊ってスライドさせるタイプ)で調整できる仕様としているケースもありました。執行部席の様に数十年単位でどう変化するか見通せないスペースと、議員控室の様に一定期間で会派構成が変わっていくと想定されるスペース、フロアごとに性格の違いを踏まえそれぞれに対策をしておくべきと考えます。
二日目、埼玉県秩父市を訪れ、庁舎と市民会館の複合施設について視察しました。同市では元々、庁舎と市民会館が同じ敷地内で別建てになっていました。2017年竣工の建て替え工事によって、「合築」という形で現在の姿となっています。いただいたパンフレットによると、財源内訳や「コンパクトな設計」が強調されている点が印象的です。財源については、基本構想時点と比べて最終契約時における金額が膨らんだことを念頭に、「国の補助金が増え、むしろ市の負担は当初の基本構想時点よりも軽減されている」という説明に力点が置かれています。規模についても、「旧本庁舎約5600㎡ 旧市民会館約5600㎡ → 新本庁舎約4800㎡ 新市民会館約5100㎡」とされ、コストや規模の圧縮に努めたという点を強調する内容になっています。お聞きした内容によると、庁舎・市民会館建て替えが議論される過程で市長選挙があり、建て替え推進派が薄氷の勝利を収めたという事情が背景にある様でした。建て替え反対派の主たる主張はコストで、「高すぎる」という指摘が有権者の一定の支持に結びついたものと考えられます。その結果、推進派もコスト面での妥協や配慮をせざるを得ず、先述の様なパンフレットの表記内容や、規模の縮小に繋がっていったようです。必要以上に大きな施設を持ってしまうことは無駄であり、「コンパクト」は通常は肯定的な意味合いで使われる表現です。ただ、今回の説明で、実際に庁舎で仕事をする職員さんからはあまり肯定的な意見が聞こえてこず、「狭すぎる」といった実用面での問題が多く指摘されたことには十分留意する必要があります。庁舎に最も長く滞在する職員の満足度が著しく低いものになって良いとは思えません。秩父の庁舎議論が盛んに行われたのは15年ほど前であり、そこには当時の時代背景もあったのかもしれません。ただ、今後造られる庁舎についてはやはり職員の満足度が得られるものであるべきです。決して、贅沢な施設を作る必要はありませんが、良好な職務環境は行政サービスの維持のためにも不可欠です。また、市民会館は大ホールで有料イベントを行う際は建物に入ってすぐの場所でもぎりが行われ、ホール以外の利用者が正面から建物に入ることができず、庁舎経由で入場するそうです。これも、コンパクトにし過ぎたが故の問題と思われ、影響が利用者(市民)に及んでしまっている様でした。このまま終わると、「反対派への配慮によって庁舎や市民会館が使い勝手の悪いものになってしまった」という論調になってしまいますので、逆の視点にも触れておきます。ヤフーの「エキスパート」に、庁舎を巡って同市が揺れていたころの記事が掲載されています。見た限り、反対派に肩入れする立場からの内容と読めます。記事によると、反対派が市長不信任案を出したことに対し、当局側が感情的とも思える厳しい姿勢で対応したとされています。職員さんに記事の正否について尋ねたところ、個別の内容を1つ1つ把握しているわけではない様子でしたが、厳しい対応がなされたことや記事に書かれた具体事例の一部については事実であるとの回答でした。視察での説明、質疑、エキスパート記事の内容を総合すると、賛成・反対両派の間には、旧庁舎に対する評価、即ち「3.11でダメージを受けてもはや使用不可能」「手直しをすればまだ使える」という根本的な認識の違いがあったのではないかと思われます。そこに、49億円(建て替え費用)、10億円(改修費用)という数字が独り歩きしたことで、市内世論を二分する方向に向かってしまったのではないかと感じられました。建前でなく、話しづらいことも含め語っていただいた職員の皆様に感謝します。いずれ、個人的に秩父を訪れたいと感じました。
最終日、茨城県守谷市を訪れ、東京ヤクルトスワローズファーム施設の移転について視察しました。まず、駅前の宿泊先ホテルからタクシーに乗り、2軍本拠地の建設現場に向かいました。15分ほどの道のりでしたが、現場は田んぼに囲まれたエリアで、現状は自動車以外に訪れる術がない状況でした。工事の進捗は、バックネット後方のスタンドやバックスクリーン側のスコアボードになると思われる物が徐々に形作られている段階でした。その後、市役所に移動し、一通りの説明を受けました。やはりアクセスが課題であるとのことで、今後はバスの運行などが検討されるとのことでした(※参考:守谷駅にスーパードライミュージアムの広告があり、「無料送迎バス」との表記。アサヒ独自の運行と思われる)。近くにスマートインターチェンジが開業することも念頭に置かれており、かなりの程度、車に依存することになるのではないかと想定されます。守谷市も駐車場不足を懸念しておられ、車社会の西三河においても同様の懸念があります。大型事業故に、野球に興味のない人にも納得いただけるだけの透明性は不可欠です。守谷市は、同市、ヤクルト本社、ヤクルト球団、茨城県の4者で協定を結び、その内容を公表しています。民間が関わる事業ということもあり、秘密保持条項が盛り込まれているものの、そうした条項が盛り込まれていること自体は公開されている同協定を読み解けば万人が知ることのできる状態です。当然ながら、安城市においてもこの程度の透明性は担保されるべきと考えます。