2026/5/22
議員として活動していると、
「本当に困っている人ほど、助けを求めない」
そう感じることがあります。
相談に来られる方は、まだ助けを求めることができます。
しかし、その一方で、
誰にも相談しない人。
相談することを諦めている人。
支援そのものを拒んでいる人。
そうした方々もいます。
私が市議会議員に初挑戦する頃だったと思います。
市内の駅前で生活している男性がいました。
その方から声をかけられたことがきっかけで、時々話をするようになりました。
見た目は、いわゆるホームレスの方でした。
ただ、私が抱いていたイメージとは少し違っていました。
その方は、いつ会っても身なりが整っていました。
不快な臭いもしません。
本や新聞をよく読み、社会情勢やニュースにも詳しい方でした。
寝泊まりは駅前。
日中は別の公園へ移動し、雨の日は高架下で過ごす。
同じ場所には長くとどまらない生活を続けていました。
話を聞くと、以前は生活保護を受けていたことがあるそうです。
しかし、生活全般について役所からさまざまな助言や指導を受けることが苦痛になり、制度を利用することをやめてしまったとのことでした。
そして、その後は路上生活を続けていました。
私は何度も、
もう一度、生活保護を受けてみませんか。
そうお話ししました。
衣食住が安定すれば、もっと穏やかに暮らせるのではないか。
社会とのつながりも持てるのではないか。
そう思ったからです。
しかし、そのたびに断られました。
あれから二十年近く経ったと思います。
その方は今でも、同じような生活を続けています。
収入をどう得ているのかは分かりません。
コンビニでおにぎりなどを買っている姿は見かけます。
また、市役所の職員も何度も声をかけているそうです。
しかし、職員の方とは一言も話をしないと聞いています。
この方と接する中で、私が感じたことがあります。
制度があれば解決するわけではない。
支援策があれば届くわけでもない。
そういう現実です。
生活保護という制度はあります。
行政も支援しようとしています。
しかし、ご本人が望まなければ、その手は届きません。
私は議員として、助けを求める人の相談を受けてきました。
しかし一方で、
助けてほしいはずなのに、
助けてと言わない人も見てきました。
本当に支援が必要な人ほど、制度から遠い場所にいることがあります。
それが現実です。
だからこそ私は、すぐに結果が出なくても、声をかけ続けることが大切だと思っています。
今日、助けを求めなくても、
一年後には求めるかもしれない。
十年後には考えが変わるかもしれない。
人は変わります。
状況も変わります。
だから私は、相手が断ったとしても、
「いつでも相談してください」
と言える存在でありたいと思っています。
助けてと言えない人がいる一方で、私は市民相談を通じて、地域には本当に多くの優しい人たちがいることも知りました。
名前も出さず、
見返りも求めず、
誰かを支えている人たちです。
次回は、私が出会った地域のヒーローたちについて書きたいと思います。
草加市議会議員
斉藤雄二

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