2026/7/29

国立成育医療研究センターの視察を通じて
先日、国立成育医療研究センターを視察し、医療的ケア児を取り巻く現状や、地域で安心して暮らし続けるための支援についてお話を伺いました。
これまでも医療的ケア、障害者支援に関わる複数の団体からお話を伺う機会はありましたし、世田谷区では全国に先駆けて「医療的ケア児基金」を創設するなど、先進的な取組も進められています。
しかし、実際に現場で医師や関係者の皆様からお話を伺うと、資料だけでは分からない現実や、今後の区政が向き合うべき課題が数多く見えてきました。
近年の医療の進歩は本当に目覚ましいものがあります。
これまでであれば救うことが難しかった小さな命が救われ、多くの子どもたちが成長できるようになりました。これは医学の進歩であり、社会全体として大変喜ばしいことです。
今回の視察や団体の声を通じて、私が改めて強く感じたのは、
「制度は「子ども」で区切れても、人生は区切れません。」
という当たり前だけれど、とても大切な視点です。
人工呼吸器や胃ろう、たん吸引など、日常的に医療的ケアを必要としながら生活する子どもたちも増えています。
子どもは成長します。
18歳になり、20歳になり、30歳、40歳と人生は続いていきます。
しかし、制度や支援は「子ども」の時期を中心に設計されているものが少なくありません。
学校に通っている間は様々な支援が受けられても、卒業後は環境が大きく変わります。
医療機関、福祉サービス、日中活動の場、就労、住まい、そして家族の介護負担など、生活全体を支える仕組みがより重要になってきます。
そして、多くのご家族が共通して口にされるのが、「親なき後」という言葉です。
今は親が24時間支えている。
しかし、その親も年齢を重ねます。
「自分たちがいなくなった後、この子は安心して暮らしていけるのだろうか。」
この不安は、どれだけ制度が充実しても簡単には消えるものではありません。
だからこそ、行政は「子どもの支援」で終わってはいけないのだと強く感じました。
世田谷区には医療的ケア児基金があります。
これは全国的にも先進的な取組として評価されていますし、多くの方々の善意によって支えられてきました。
今回の視察を通じて感じたのは、この基金を単純に大人まで対象を広げればよい、という話ではないということです。
この基金は、「医療的ケア児を応援したい」という寄附者の皆様の思いによって積み重ねられてきたものです。
だからこそ、その思いを尊重することは非常に大切です。
一方で、子どもが成長し大人になっても支援は続きます。
人生全体を見据えた支援のあり方や、持続可能な財源の確保、医療・福祉・教育・地域が連携した支援体制など、新たな視点で考えていく必要があるのではないでしょうか。
私自身、子育て世代の区議会議員として、これまで子ども施策には力を入れて取り組んできました。
保育、教育、いじめ対策、子育て支援など、子どもたちの未来を守るための政策は、これからも重要なテーマです。
しかし今回の視察では、それだけでは十分ではないことを改めて実感しました。
子どもを支えることは、その子の人生の入口を支えることです。
しかし、本当に必要なのは、その先に続く何十年もの人生を見据えた支援ではないでしょうか。
行政はどうしても制度ごとに担当部署が分かれ、年齢によって支援の枠組みも変わります。
ですが、ご本人やご家族にとって人生は一本につながっています。
子どもの頃に困っていたことが、大人になれば自然に解決するわけではありません。
むしろ、年齢を重ねることで新たな課題が生まれることも少なくありません。
だからこそ、「児」と「者」を切れ目なく支える視点が、これからの自治体には求められていると感じます。
制度は「子ども」で区切れても、人生は区切れません。
医療的ケア児は、やがて医療的ケア者になります。
今回の視察を通じて改めて感じたのは、行政は制度を運営するだけではなく、一人ひとりの人生に寄り添う存在でなければならないということです。
世田谷区だからこそ、医療、福祉、教育、地域、そして区民の皆様の温かい支えをつなぎながら、人生全体を支えられる仕組みを考えていきたい。
今回の視察は、その必要性を改めて胸に刻む、大変意義深い機会となりました。
これからも現場の声を何より大切にしながら、「未来をつなぐために。」という初心を忘れず、誰もが安心して暮らし続けられる世田谷の実現に向けて、一歩ずつ取り組んでまいります。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>加藤 たいき (カトウ タイキ)>制度は「子ども」で区切れても、人生は区切れません。