2026/7/16
突然の集中豪雨で道路が冠水し、玄関や地下室、店舗に水が流れ込む。こうした浸水被害を防ぐため、練馬区は7月から、止水板の購入・設置費用を助成する新制度を始めました。前進として評価する一方、費用の半分は自己負担です。水害対策を個人の「自助」だけに委ねない仕組みが必要です。
止水板は、大雨の際に建物の玄関や車庫、地下への出入口などに設置し、水の侵入を防ぐ板です。金属製の着脱式だけでなく、工事を必要としない簡易型も対象になります。
練馬区の水害ハザードマップでは、石神井川、白子川、江古田川の氾濫に加え、下水道で雨水を排水しきれない「内水氾濫」による浸水リスクも示されています。想定される降雨は、時間最大153ミリ、総雨量690ミリです。川から離れていても安心とは限りません。

(出典:練馬区)
助成額は、止水板の購入・設置工事と関連工事にかかる費用の2分の1、最大100万円です。
対象となるのは、区内の建物を所有または使用する区民、区内に本店や支店等がある法人、マンション管理組合です。借家やテナントでも、所有者の承諾を得れば申請できます。ただし、一つの建物につき助成は1回までです。
申請には注意が必要です。購入や工事の前に区への相談と現地確認、申請、交付決定を受けなければなりません。先に買ったり工事を始めたりすると対象外です。交付決定までには、申請書類がそろってからおおむね1~2週間かかるとされています。
助成制度は令和8年7月から令和10年度末までの予定です。

(出典:練馬区)
制度が始まったことは評価します。これまで練馬区の総合治水計画でも、地下室等への浸水対策として止水板の設置を提案してきましたが、今回、初めて購入・設置への具体的な助成が実現しました。
一方で、課題もあります。
第一に、費用の半分は自己負担です。例えば200万円の工事なら、最大100万円の助成を受けても、残り100万円は本人負担となります。しかも助成金は工事や購入後に交付されるため、いったん全額を用意しなければならない可能性があります。
杉並区では設置費の4分の3、目黒区では区内在住の個人に10分の9を助成しています。対象や条件は異なりますが、練馬区の2分の1という補助率で、特に低所得の世帯や小規模店舗まで利用できるのか、検証が必要です。
第二に、申請書類が多いことです。案内図、写真、見積書、土地・建物の登記事項証明書などが必要で、マンション管理組合では総会等の決議を証明する書類も求められます。浸水リスクが高くても、手続きの複雑さから利用を諦める方が出ないよう、区による申請支援が必要です。
区は制度の説明で、豪雨への備えとして住民の「自助」が重要だとしています。もちろん、個人でできる対策を支えることは大切です。
しかし、浸水被害は個人の努力だけで防げません。河川や下水道の整備、雨水貯留施設、透水性舗装、雨水浸透ますの設置など、行政による基盤整備が前提です。止水板を設置できなかった家庭が、被害に遭った際に「備えが足りなかった」と責められるようなことがあってはなりません。
練馬区議会議員として、区には、制度の利用件数、地域別・世帯別の利用状況、自己負担を理由とした断念例を把握し、必要であれば補助率の引き上げや低所得者への上乗せ支援を行うことを求めます。
止水板助成を、単なる自助の促進で終わらせず、区民の命と暮らしを守る総合的な水害対策の一つとして充実させるよう、練馬区議会でも今後も訴えます。

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