岡本 のぶじ ブログ
兵庫・猪名川町【いながわの木喰学 第15回/いながわ木喰】
2026/7/21
7/21 きょうは、猪名川町内の個人宅に残された木喰仏のもう一体をご紹介します。その名も 「松尾大権現倚像(まつおだいごんげん いぞう)」。元造酒屋の家に伝わる像で、言い伝えでは――木喰上人がこの家でお酒をご馳走になり、そのお礼として「酒造りの神様」を刻んだとされています。なんとも木喰らしい、粋なエピソードです。

この像は、椅子や台に腰掛け、脚を下ろして座った「倚像(いぞう)」の姿。木喰仏の中でも珍しい造形です。
猪名川で彫られた木喰仏の背銘には通常「日本千タイノ内」と記されていますが、この松尾大権現像には 「日本二千タイノ内」 と記されています。つまり木喰は、猪名川で“千体仏”を達成したあと、さらに二千体を目指していたことになります。90歳を過ぎても「まだまだ彫りますよ」と言えるその気力、現代なら「生涯現役の元気なお年寄り」として話題になっていたかもしれません。
さらに、この像には長年読み解けなかった二文字がありました。最新の調査で、木喰が他の書画に記した文字と比較した結果――その二文字は 「為酒(さけのため)」 と判断しました。
木喰はお酒が好きだったことが知られています。84歳のときに故郷・山梨で彫った「自身像」では、なんと酒を入れるひょうたんの上に自分が乗っている造形をしています。ここまで来ると、まるで自分で『酒好きです』と名乗っているような造形です。
松尾大権現像に刻まれた「為酒」は、ただ酒をご馳走になったお礼だけでなく、酒への感謝、酒造りへの祈りを込めた言葉だったのかもしれません。木喰らしい、素朴で温かい気持ちが伝わってきます。【つづく】
猪名川町に残る木喰仏は、地域の宝です。これからも、その魅力と物語を皆さんにお届けしてまいります。よければ“いいね”で応援いただけると嬉しく思います。
著者
| 選挙 |
猪名川町長選挙 (2025/07/20) [当選] 5,079 票
|
| 選挙区 |
猪名川町
|
| 肩書 |
猪名川町 町長 |
| 党派・会派 |
無所属
|
| その他 |
|