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【続報】憲法違反の疑い/武雄市役所、職員に「市の方針へ異論を外に出すな」と文書で指示。

2026/6/14

【続報】憲法違反の疑い/武雄市役所、職員に「市の方針へ異論を外に出すな」と文書で指示。

武雄市役所の部長会議名義で発出された庁内指示文書による職員に対する思想・言論統制問題の続報をお届けする。

「職員が市の施策・方針に異を唱える内容を外部へ発信することは市民の混乱を招く。地方公務員法に抵触する恐れもあるため行わないこと。」

問題は「市の施策・方針に異を唱える内容」を外部へ発信するな、と書いている点だ。

この文言について、行政運営に詳しい弁護士に分析してもらったところ「法的問題だらけ。おおよそ行政組織が作成したとは信じ難い内容」との厳しい指摘を受けた。

前述の弁護士によると、この文書には以下の14項目もの問題点があるという。

①憲法が定める表現の自由への侵害
憲法21条は表現の自由を保障している。市の方針に賛成する意見だけでなく、反対意見も表現の自由の対象である。「市の施策・方針に異を唱える内容」を外部発信するな、という指導は、意見の中身によって発信を止めるもの。これは内容規制に近い。行政にとって不都合な意見を封じるなら、服務指導ではなく言論統制である。

②憲法が定める思想・良心の自由への萎縮効果
憲法19条は思想・良心の自由を保障している。もちろん、内心そのものを直接処罰しているわけではない。しかし、「市の方針に異を唱える内容を外に出すな」と職員に周知すれば、職員は反対意見を持つこと自体を危険視するようになる。これは、反対意見の表明を萎縮させる。結果として、思想統制的な効果を持つ。「市に異論を言う職員は危ない」、そういう空気を行政内部に作ること自体が問題である。

③憲法が定める「全体の奉仕者」原則との衝突
憲法15条2項は、公務員を「全体の奉仕者」であって「一部の奉仕者ではない」と定めている。地方公務員法30条も、職員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すると定めている。職員は、市長や幹部の奉仕者ではない。市役所という組織の奉仕者でもない。住民全体の奉仕者である。市の方針に異論を唱えること自体を封じるなら、それは住民全体への奉仕ではなく、組織上層部への忠誠を求める運用になる。

④憲法が定める請願権・問題提起の萎縮
憲法16条は、損害の救済、公務員の罷免、法律・命令・規則の制定・廃止・改正などについて、平穏に請願する権利を保障している。請願したことによる差別待遇も禁じている。「外部へ発信するな」という文言が広く読まれれば、議会、監査委員、行政機関、報道機関、市民への問題提起まで萎縮する。行政内部の不正や問題を、どこにも出せなくなる。
それは民主的統制の否定に近い。

⑤地方公務員法の示し方が極めて雑
当該文書は「地方公務員法に抵触する恐れ」と書いている。しかし、どの条文に、どの行為が、なぜ抵触するのかを示していない。地方公務員法30条から36条には、服務の根本基準、法令・上司の職務上命令に従う義務、信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務、政治的行為の制限が定められている。だが、地方公務員法のどこにも「市の施策・方針に異論を唱えてはならない」とは書かれていない。法律名だけを出して職員を黙らせる。これは法令遵守ではない。法令を使った威圧である。

⑥地方公務員法が定める守秘義務と政策批判を混同している
地方公務員法34条の守秘義務が対象にするのは、職務上知り得た秘密である。秘密情報、個人情報、非公開の内部情報を漏らしてはいけない。
それは当然。しかし、市の政策への意見、行政運営への批判、方針への異論は、それ自体が「秘密」ではない。「秘密を漏らすな」と「市の方針に異論を言うな」は、まったく別の話である。

⑦地方公務員法が定める信用失墜行為の拡大解釈
地方公務員法33条は、職員の信用を傷つけ、または職員全体の不名誉となる行為を禁じている。虚偽発信、侮辱、個人情報の暴露、差別的投稿、職務情報の不適切利用。こういうものは信用失墜行為になり得る。
しかし、政策批判そのものを信用失墜行為と扱うのは危険である。行政に都合の悪い意見を「信用失墜」と呼べば、職員は何も言えなくなる。
それは、信用維持ではなく批判封じである。

⑧地方公務員法が定める職務専念義務の範囲を超えている
地方公務員法35条は、職員が勤務時間中、職務に専念する義務を定めている。勤務時間中に私的SNSをする。職務中に業務外の発信をする。職場の端末や資料を不適切に使う。これは問題になり得る。しかし、勤務時間外に、個人として、秘密を漏らさず、虚偽を述べず、公務員の地位を濫用せず、市政について意見を述べることまで一律に禁じる根拠にはならない。

⑨地方公務員法が定める政治的行為の制限とも別問題
地方公務員法36条は、政治的行為を制限している。しかし、それは政党、選挙、投票勧誘、特定候補や特定政党への関与などの問題である。
「市の施策に異論を言うこと」一般を禁じる条文ではない。最高裁も、公務員の政治的行為の制限について、表現の自由の重要性を前提に、政治的中立性を損なうおそれが現実的・実質的にあるかを見ている。判断要素は、職員の地位、職務権限、勤務時間内外、職場施設の利用、公務員の地位利用の有無などである。「市民が混乱するかもしれない」だけで、異論を一律に封じる発想ではない。

⑩公益通報者保護法が定める公益通報を萎縮させる危険が大きい
ここが特に重大である。公益通報者保護法2条は、公益通報を、不正の目的でなく、一定の法令違反などについて、内部窓口、権限ある行政機関、または被害拡大防止に必要な外部へ通報するものとして定めている。つまり、法令違反や不正の疑いがあるとき、外部への通報は最初から違法ではない。同法3条は、一定の公益通報を理由とする解雇を無効とする。同法5条は、降格、減給、退職金不支給その他の不利益取扱いを禁じている。同法9条は、地方公務員についても、公益通報を理由とする免職その他の不利益取扱いがされないよう、地方公務員法などを適用しなければならないとしている。「外部へ発信するな」という指導が広く運用されれば、公益通報まで萎縮する。これは公益通報者保護法の趣旨に逆行する。

⑪行政が本来負うべき通報対応義務に反する
公益通報者保護法11条は、公益通報に対応する体制整備を求めている。同法12条は、通報者を特定させる情報の漏えいを禁じている。同法13条は、行政機関が公益通報を受けた場合に、必要な調査と是正措置を行うことを求めている。行政がやるべきことは、「外に言うな」ではない。職員の外部発信を広く抑え込む文書は、公益通報制度と逆方向を向いている。

⑫ 公務員の告発義務との関係でも危険
刑事訴訟法239条2項は、公務員が職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発しなければならないと定めている。つまり、公務員には、犯罪の疑いを見つけたときに黙っていればよい、という立場はない。市の内部文書で「外部へ発信するな」と言っても、法令違反や犯罪の疑いについての通報・告発義務まで消すことはできない。

⑬「市民の混乱を招く」という理由による恣意的運用の危険性
行政にとって不都合な情報でも、市民にとって必要な情報である場合がある。「市民が混乱するから黙れ」これは説明責任ではない。市民が混乱する可能性があるなら、行政が説明すればよい。異論を封じる理由にはならない。

⑭当該文書そのものが萎縮効果を持つ
この文書は、実際に懲戒処分をしていなくても問題である。「地方公務員法に抵触する恐れ」「行わないこと」こう書かれれば、職員は黙るしかない。政策への疑問も、不正の兆候も、議会や外部機関への相談も控えるようになる。

武雄市は、この文書が誰の判断で作成され、どの職員に、どの範囲で、どのように周知され、どのように運用されているのかを事実に基づいて説明すべきである。

そして、公益通報や正当な問題提起まで萎縮させないことを、職員と市民に明確に示すべきである。

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著者

こんどう けんじ

こんどう けんじ

選挙 網走市議会議員選挙 (2019/04/21) [当選] 1,142 票
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肩書 人材開発株式会社CEO/DXコンサルタント/公共交通アドバイザー
党派・会派 自由民主党
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