2026/6/15
令和8年6月15日 釧路市議会議員の木村はやとです。
6月の定例会で一般質問に立ちました。テーマは、釧路市内の太陽光発電施設における森林法違反と、市の対応の遅れについてです。
質問を終えて、どうしても皆さんに伝えたいことがあります。それは「もし2025年の時点で、国の通報システムを使っていたら、今の状況は違っていたかもしれない」ということです。
釧路市北斗地区に、2基の太陽光発電施設があります。
1基目(北斗2番71)は2020年に運転開始。事業者・株式会社H.Eエナジーが、許可を取らずに樹齢94年の天然広葉樹を0.05ヘクタール伐採していたことが判明しています。
2基目(北斗2番72)は2022年に運転開始。こちらも同じH.Eエナジーが、樹齢96年の天然広葉樹を0.22ヘクタール、無届けで伐採していました。
いずれも森林法第10条の8第1項に違反する行為です。釧路市長は2025年4月、両施設に対して指導書を発出し、「告発等の措置を講ずる」と明記しました。
ところが現在、事業者のH.Eエナジーは音信不通の状態です。代表者にも連絡が取れず、事務所はすでに退去済み。事業の実態はほぼ存在しない状況です。
実は、こうした事態に対応するための仕組みが、すでに国によって整備されていました。
資源エネルギー庁は2023年3月、再エネ業務管理システムへの通報制度を運用開始しました。自治体が太陽光発電事業者の法令違反を把握した場合に、国へ簡単に報告できる仕組みです。2024年6月末時点で全国842の自治体が登録済みで、釧路市も登録しています。
また2023年7月には、この制度が拡充され、エネルギー政策担当部局だけでなく、農林課や建設課など関係法令を所管する部局でも使えるよう、各自治体に最大15IDが付与されました。
そして2024年4月の改正再エネ特措法の施行により、行政が書面による指導を行った段階で、FIT交付金(再生可能エネルギーの固定価格買取制度による収入)を一時停止できる仕組みも整いました。施行初日には、全国の森林法違反9件に対して即日この措置が適用されています。
釧路市が指導書を出したのは2025年4月。これはまさに、一時停止の要件を満たしていました。
今回の一般質問で明らかになったのは、釧路市がこの通報システムを一度も使っていないという事実です。
指導書を発出しておきながら、国への通報はなし。北海道への情報提供もなし。農林課と環境保全課の間での情報共有も不十分。現地の標識に不備(保守点検責任者欄へのシール貼付・音信不通の連絡先)があったことも、現地確認をしていたにもかかわらず見落としていました。
市の答弁を聞いていると、「森林法の所管として対応している」という立場に終始していたように感じます。それは一面では正しい。しかし再エネ特措法の通報制度の趣旨は、軽微な違反であっても国と情報を共有し、迅速に対処することにあります。森林法主体で考えれば今日の答弁になる。でも再エネ特措法主体で考えれば、通報しないという選択肢はなかったはずです。
これは「たられば」の話ではありますが、私は重要な問いだと思っています。
2025年4月の時点で通報していれば、国がFIT交付金の一時停止を検討できました。事業者にとって、毎月入ってくる売電収入が止まるかもしれないという状況は、無視できない圧力になります。
さらに、資源エネルギー庁が情報を受け取ることで、北海道経済産業局や必要に応じて関係自治体への連携も動き出せていた可能性があります。国を起点にした広域の対応網が機能していれば、事業者が逃げ切れる余地は格段に狭まっていたはずです。
音信不通になる前に、是正の糸口をつかめたかもしれない。通報という、登録さえすれば誰でも使えるシンプルな一手が打たれていなかった。そう思うと、悔やまれます。
事態はすでに深刻ですが、できることはまだあります。
まず、資源エネルギー庁への通報を今からでも行うこと。次に、北海道への情報提供を行い、広域での連携を図ること。そして告発に向けた庁内の検討を本格的に進めることです。
太陽光発電は、地域の景観や森林と共存できるかたちで進められるべきものです。しかし違反があれば、国・道・市が連携して毅然と対応しなければ、被害を受けるのは地域に住む皆さんです。
今回の質問で見えてきたのは、制度はあった、仕組みもあった、しかし使われなかった、という現実です。この教訓を次に生かすために、引き続き取り組んでいきます。
本ブログに記載した情報は、登記情報・現地標識・行政文書(釧路市長発出の指導書・顛末書)・釧路市各課の対応記録・資源エネルギー庁提供資料など、すべて公開情報・公文書に基づいています。

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キムラ ハヤト/44歳/男
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