2026/7/20
皆さん、おはようございます。6月13日(土)”ふくろうの森プラザ” で「古河市子どもの居場所サポーター説明会」が開催されました。古河市内にある子どもの居場所のボランティア活動に参加を希望する方、関心がある方を対象にした説明会です。実はこの説明会、古河市が挑む『ある新しい挑戦』の始まりだったのです。その新しい挑戦の名は、成果連動型民間委託(Social Impact Bond:通称 SIB)です。
「お役所の仕事は、いままでのやり方をただ繰り返すだけで、税金の無駄遣いが多い」
そんなイメージを抱いている方は少なくないかもしれません。しかし今、私たちが暮らす茨城県古河市で、これまでのイメージを根底からひっくり返すような新しい挑戦が静かに始まっているのをご存知でしょうか。難しい名前「成果連動型民間委託(通称 SIB)」ですが、一言で言えば、これは「あらかじめ『出すべき成果』を約束し、民間の知恵とお金を使って、地域みんなの困りごとを解決する」という、新しい行政の仕組みです。今回は、この古河市が挑む「SIB」という最先端の仕組みについて、その「長所と短所」を、分かりやすくひも解いていきます。私たちの街、古河市の新しい未来について、ちょっとだけ一緒にのぞいてみませんか?
これまで、お役所の事業といえば「これだけ予算を出すので、何回イベントを開催してください」という「過程の買い取り」が当たり前でした。しかし、これでは、イベントに人が来なくても、困りごとが解決しなくても、税金は満額支払われてしまいます。これに対し、今回古河市が「こどもの居場所支援事業」に導入した「SIB(成果連動型民間委託)」は、まったく逆の発想をします。 まず、以下の相関図(事業実施体制)をご覧ください。
【図:古河市こどもの居場所支援事業 SIB実施体制】

一見、複雑なネットワークに見えますが、この仕組みは大きく分けて3つのステップで回っています。 まず、
①民間の資金でスタートする :お役所の予算ではなく、まずは民間(日本政策投資銀行や常陽銀行など)が事業費を投資します。この段階では、古河市は税金を一円も使いません。
②現場のプロフェッショナルが事業を行う :教育のプロである「公文教育研究会」が全体を束ねる司令塔となり、市民活動を支えてきた地域の団体「茨城NPOセンター・コモンズ」、そして地元で高齢者福祉やこども食堂を実践してきた「下総プリンスクラブ」などが力を合わせて、5年間の計画で、こどもの居場所づくりを現場で泥臭く進めていきます。
③成果が上がってから、初めてお役所が支払う :5年の事業が終わった後、第三者の専門機関が「本当に効果があったか」を厳しく評価します。下総プリンスクラブが運営する特別養護老人ホーム「白英荘」などでの地道な関わり合いを含め、約束した「成果」が上がった割合に応じて、古河市が『初期費用を出資した民間企業や市民団体』に対して初めてお金(委託料)を支払うのです。
つまり、「成果が出なければ、市は税金を払わなくてよい(または減額される)」という、古河市にとっては非常にリスクが低く、賢い仕組みになっています。
このSIBがもたらす最大の ”長所” は、「市の税金を守りながら、民間の素晴らしいアイデアをフル活用できること」です。人口が減少し、表向きは『財政に余裕がない』と説明されながらも、真に市民のための予算配分が問われている古河市において、手探りの新しい事業にいきなり巨額の税金を投入するのは、とてもハイリスクです。しかし、SIBであればリスクを最小限に抑えながら、これまでにない新しいサービスに挑戦できます。さらに、これまでの「縦割り行政」では生まれ得なかった、民間の最強チームが力を合わせてくれます。教育のプロ(公文)が全体のまとめ役となり、市民活動を支えてきた地域の団体(コモンズ)が活動のやり方や知恵を出し、地元の福祉施設(下総プリンスクラブ)が現場を回す。このチームだからこそできる「血の通った、新しいサービス」は、単なる予算消化のイベントではなく、本当に成果を出すための「生きた活動」へとつながっていきます。
しかし、どんなに新しくて優れた仕組みにも、必ず ” 短所(課題)” は存在します。この短所から目を背けて、ただ「新しいから素晴らしい!」と持ち上げるだけでは、本当に市民の未来を守ることはできません。私が特に気になっているのは、大きく分けて二つの落とし穴です。
この仕組みの本質は「成果と連動してお金を支払う」ことですが、そもそもこどもの福祉における「成果」とは何でしょうか。 「居場所を何箇所つくったか」「何人が利用したか」という数字は、簡単に測定できます。しかし、こどもの居場所が持つ本当の価値は、「誰にも言えなかった悩みを、信頼できる大人に打ち明けられたこと」や「荒れていた心が、みんなで食べる温かいごはんを通じて、少しずつ穏やかになったこと」といった、数字ではきれいに割り切れない、一人ひとりの心の微妙な変化の中にあります。「数字上の成果目標」ばかりを追いかけるあまり、もっとも救うべき「数字になりにくい、深く孤立した1人のこども」が、システムからこぼれ落ちてしまうリスクは常に隣り合わせです。
古河市のこの事業は、5年間(令和12年3月まで)というお約束で行われています。 もし、この5年間で素晴らしい居場所ができたとしても、プロジェクト期間が終わり、民間の資金や大手企業,専門家たちが引いてしまったとき、その居場所は自分たちだけで持続できるでしょうか。民間委託の難しさは、期間が終わった瞬間に、培われた活動のやり方や知恵が地域から消えてしまう点にあります。この5年間を単なる「外注の期間」にするのではなく、「古河市の市民が自分たちの足で立ち、居場所を自分たちで守っていくための準備期間」にしなければ、一過性のブームで終わってしまいます。
古河市のSIBは、全国的にも極めて先進的で、新しい挑戦です。お役所のリスクを抑えながら、強力な民間の力を借りて「こどもの居場所」作りに乗り出したことは、大いに拍手を送るべき一歩です。しかし、忘れてはならないのは、「SIBという仕組み」は、あくまで最新式の冷たい器に過ぎないということです。
その器の中に、どのような温かいお湯を注ぎ、こどもたちの笑顔を咲かせていくか。それを決めるのは、東京の大企業や銀行といった遠くの組織ではなく、私たち古河市に暮らす一人ひとりの市民であり、地域に根を張るボランティアさんたちです。そして、もう一人。この最新の冷たい仕組みを、裏側で一生懸命に動かしている「行政の職員さんたち」もまた、実は私たちと同じ温かい想いを胸に秘めているのかもしれません。行政が用意した最先端の仕組みを、どうやって私たちの「血の通った地域の絆」へと育てていくか。ただ批判するだけでもなく、すべて任せきりにするでもなく、建設的にこの新しい挑戦を「自分たちのもの」として育てていく視点が、今、古河市に最も求められています。では、この最新の仕組みの裏側で、今、古河市の子どもたちはどのようなリアルに直面しているのでしょうか。次回、「古河市こどもの居場所実態調査報告書」の数字が突きつける、古河市が抱える「もう一つの冷たい現実」へと足を踏み入れます。









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ホーム>政党・政治家>峰 やすゆき (ミネ ヤスユキ)>古河市の未来を変える!新しい挑戦① ~税金を無駄にしない行政へ!今注目の仕組み「SIB」とは?~